ほれみたことか

有終の美

引き際の美しさで、その人間の価値が決まるといっても過言ではありません。

ウチの店の一番のお得意様で、以前記事にも書いた、奥さんが何人もいる80過ぎのオジイサンのことですが、  今年に入りすでに3回目の事故をしました。

今回の事故は、スーパーの駐車場に駐車する際に、わけがわからなくなって、アクセルを踏み続けてことごとく何台もの車に激突したそうです。
もう、同時多発テロですね。

度重なる事故に保険会社にも見放され、
ついには身内から、車に乗るなという命令が下ったそうです。

しかしながら、自家用車を運転して近くの温泉に行くことが唯一の幸せだったオジイサンの心中を察すると、とても残酷な話です・・・

定年まで一生懸命家族のために働き、 特に趣味もなく平凡に過ごして、
ようやく見つけた楽しみが、自家用車で、いろいろな奥さんと温泉に行くことでした。

オジイサンにとって、自家用車は、自由の象徴だったのかもしれません。


オジイサンは、目にうっすら涙を浮かべながら私に言います

「もう、 無理なようですね」  

無理ではない、もっともっとたくさんの奥さんと、たくさん温泉に行ってくださいよ
と、 言いたいけれど、 言いません。

いままで幾度となく事故をしても、運良くケガだけはしなかったのですが
わけがわからなくなってアクセルとブレーキがわからなくなってしまった今、
運転を続けても、ケガをしないという保証はありませんから。

「お疲れ様でした」    この言葉が、一番いいと思いました。  

その足で警察署に連れて行き、免許証を返納しました。

オジイサン 「持っていると、乗りたくなるから・・・」
まったく、どこまでも真面目な人です。 

受付のオバサン 「 本当に、もう乗らないのですね?」

オジイサン 「 は、はい」

受付のオバサン 「免許証の有効期限はまだありますけど・・・」

オジイサン 「・・・ 体力の限界!」

その力強い言葉に、思わず受付で待っている人が、拍手をしました。

立派な横綱が引退するときの言葉と同じですが、
私には、それ以上にかっこよく感じました。


「 いや~  むしろ、歩く方が健康にいいですからね~ 」

吹っ切れたように、オジイサンが赤い目をして、笑顔で言いました。

雲一つない青空に、オジイサンの吹っ切れたが笑顔がとてもさわやかで、
今も脳裏に焼き付いています。

本当に、どこまでも強がりで、かっこいいオジイサンでした。

何人も奥さんがいるのも、うなずけますね。
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by rs_yositomi | 2005-04-07 01:09 | たわごと

思い知れ
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